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Talking w/ Photographer mikri
大自然からインスピレーションを受けるmikriが作品に込める想いとは。彼女がカメラで切り取る世界から見えてくる人生観に迫る。
fmn:写真を撮り始めたのはいつからですか?
mikri:大学に入ってからなので、撮り始めて7年目になります。ちゃんと写真に熱が入って撮り始めたのは今年で5年目ぐらい。
fmn:主に撮影するのは植物や風景ですか?
mikri:植物や自然がメインなんですけど、たまに人物も撮ったりします。でもやっぱり大自然を撮るっていうのが一番主軸にあります。
撮りたいなって思うものが、全部自分の内面にリンクしているものや、自分が考えてる事だって気づいてから、(写真を撮ることが)自分の心と見つめ合う動作みたいになっていって。
自分と向き合ってレンズを構えるってなると、生命が宿っているものやエネルギーを感じるものにすごく惹かれるから、自然とそういうものが被写体になっていったのかなって思います。
fmn:植物の中でも花が好きですか?
mikri:そうですね。花と木が好き。
fmn:それはどうして?
mikri:どっちもすごくエネルギーを持っているものじゃないですか。例えば木はすごく癒されるなって思う。小さい時とか、よく木に抱きついたりしてて。多分本能的にやってたことですけど、木は包み込んでくれる力強さや偉大さを感じる。
一時期1本の木っていうシリーズを撮っている時期があって、何にもない更地に1本だけ生えてる木ってパワーがあるじゃないですか。そういうのをずっと撮り溜めてて。すごくどっしりした太い木を撮影してる時は、今自分は強い意志を持っているんだなとか。逆にずっとひょろひょろしたような木ばっかり撮ってる時もあって。そういう時はそれが今の自分の状態なんだなって思ったり。1本の木を自分の象徴のようにも捉えていました。
花は生きてる時から朽ち果てるまでのその過程が好きで。朽ち果てていく状態をすごく本質的だなって思います。朽ち果てていく過程が同じ花でも全部違うじゃないですか。輝いてる時はみんな同じような姿をしてるけど、朽ち果てる過程でこそその人の個性が出るみたいなところは人にも通ずるものがあると思うし、そういうものにすごく惹かれて、変化が面白いなと思ってます。
fmn:中でも好きな花はありますか?
mikri:好きな花はガーベラかな。一番写真に収めてるのがガーベラかもしれない。
ガーベラも枯れていく過程が面白くて、花びらが上にくるんってなったりとか、全部下に落ちたまま枯れたりとか、色んな方に広がって、そのまま枯れたり。
fmn:今までの作品で印象に残っている撮影地は?
mikri:印象的な場所だったのは、ナザレ。ポルトガルの一番最西端にあるロカ岬近くのサーフィンとかで有名なリゾート地です。そこの景色が今まで見た中でもう本当に一番感動した景色。360度海みたいな感じで。でも自分が立ってるところは崖になっていて草もたくさん生えてる野原みたいなところで、緑と海と空の層が本当に綺麗で、涙が出そうになるくらい感動した場所だった。
fmn:mikriさんが人生の中で大切にしている考え方はなんですか?
mikri:概念に囚われないっていうのが結構大事かな。
例えば花もそうですけど、一般的な概念だと花は枯れたらおしまい、綺麗じゃないものとして扱われるけど、枯れた花もよく見たら美しいし、見方によっていろんな魅力が引き出される。
世の中の概念もどんどん変わってくじゃないですか。概念って移ろいで行くものだから。社会の常識とか、もちろん守らなきゃいけないこととか大事なものはあるけれど、自分の心や自分自身に直結するものの概念にはとらわれずに、ちゃんと自分の心に従って、自分の本質を見つめて生きていきたいって思っています。
fmn:概念に囚われないようにし始めてから何か変わりましたか? 環境、周囲、自分自身とか。
mikri:ありのままの自分をちゃんと好きでいられるようになった。小さい時からそうではあったけど、もっと解像度の高い考えで自分をちゃんと受け入れ、ありのままを受け止められるようになった。
fmn:今のmikriさんの感性や考え方を形成したきっかけになるものは?
mikri:やっぱり大自然。家の外で学んでる。森とか海とかに行くと全部教えてくれるっていう感じ。全て大自然からのインスピレーション。
fmn:自然が持ってる力が偉大だっていうのは頭ではわかってるけど、感覚的に体で感じるのってなかなか普通の人には難しい。mikriさんが受け取ってるエネルギーや感覚ってスペシャルなものだなって思います。
mikri:私もまだ感じ切れてないんですよ。小さい頃の敏感な感覚を呼び起こすために頑張ってるっていうのもあるかも。
人生っていうタイトルで一番最初に作った作品があって、色んな木を見てると、1本の木からでも人生そのものを学べるんですよ。木の木目も、樹齢の高い木だとどんどん濃くなっていくし、幹も太くなってくじゃないですか。人間自身もそうじゃないですか。年を重ねることで自分の軸もどんどん太くなっていく。
自然を見ていると、人間の心模様というか生き様を感じるんです。移ろいゆく天気や、生き生きとした植物、枯れた植物。新しく芽吹く植物とか採された植物も。あらゆる環境下で生息する生物や光と影。そこには良いも悪いもないし、なるべくして成り立っていて、あるがままで完璧であることを示してくれる。
それぞれ与えられた環境は違うけど、きっとそれはちゃんと意味があってその地や条件に生まれてきているんだなって。例えば、湿度の高い土地に生えてる木は砂漠地帯では枯れてしまうし、逆もしかりで。そういうことを考えてると、本当にやっぱり自然が全てを教えてくれるんだなって、結びつく。
fmn:今回の個展で展示予定の作品について教えてください。
mikri:今回は全部で3種類の作品を制作しました。一つは裏テーマであるチャクラにフォーカスした作品です。女性らしさや女性の強さ、エネルギーっていうものに着目して6種類の花をそれぞれ6色で表現しました。
あと、アートデイレグダーのriyo ishibashiが提案してくれたファンタジーな世界観のコラージュ写真が一点。この作品を最終的に仕上げてくれたのは、今勤めている会社の同期のレタッチャーYuua Watanabeです。それぞれのセンスが凝縮された作品になっています。
3点目はお花のエネルギーを表現しようっていうので、1点目の作品をより具体的に、実験器具を用いてお花から出ているエネルギーを示した遊びのある作品になっています。
fmn:1点目のチャクラに着目した作品はスタジオで撮られたとか。自然光じゃなくスタジオで撮ろうと思ったのはなぜですか?
mikri:自然光で綺麗に撮られてる花ってたくさんあるじゃないですか。たくさんありふれてるし。自分も今まで自然光でばかり撮ってきた分、違う表現を試みたくて。 何か自分を試してみたという感じかな。
fmn:試してみてどうだった?
mikri:試してすごく良かったです。楽しかったし、ちゃんと表現できるんだっていうのが自信にもなりました。今回チャクラを裏テーマにやってみたんですけど、それもしっかり表現できたなって思うし。太陽光だけでは表現できない領域のエネルギーが表現できたなって思ってます。
fmn:裏テーマにチャクラを選んだのはなぜ?
mikri:お店のコンセプトを見た時に、女性はそれぞれ個性を持った美しさがあるって書いてあって。ちょうど自分も女性性とか男性性について考えていた時期でもあったので。
第1チャクラって始まりのところで、女性にとっても一番大事な部分じゃないですか。
私にとってForget-me-notsさんはカラフルでとにかくパワフルっていうイメージがあるから、そう考えた時にチャクラのエネルギーの色が全部揃ってるなって思ったんですよ。だから(今回POPUPで展示する)作品にも落とし込めたし、これは個人的な見解だけど、赤(第1チャクラ)はすぐ表現できたんです。
今自分自身が向き合いたいところでもあるし、女性っていうところがお店のコンセプトにもフィットしてるからかも。あとオレンジ(第2チャクラ)とか。逆に黄色(第3チャクラ)と緑(第4チャクラ)が難しくて、同じ空間で花を撮るっていう同じ作業のはずなのに、チャクラに着目して撮り進めてると、色によって難しさがすごく出てきちゃって。赤とオレンジは楽しく撮れたのに、黄色と緑になった途端、なんかこれ大丈夫かなみたいな。自分のチャクラ的な面でいうと、多分そこがすごく弱い部分というか、育ってない部分なんだろうなって思って。そういう発見もあって面白かったです。
fmn:弱さや未完全な部分があってこそありのままの姿だと思うので、mikriさんの作品からそれを感じ取れるのは見る側にとってもすごく楽しみだし魅力だと思います。最後にご来場いただく皆さん向けてメッセージをお願いします。
mikri:作品を見て、もっと本当にはじけて、自分らしく楽しく突き進んで生きていってほしいっていうメッセージを受け取ってもらえたらなと。元気になってくれたら嬉しい。作品を見てパワーをもらってほしいです。
mikri在廊日
11.9 sat 13:00~17:00
11.10 sun 13:00~17:00
11.16 sat 13:00~17:00
11.17 sun 13:00~17:00
自身の作品はトリミングや加工は極力せずにあるままの姿、在り方を自然光を用いて撮るのを得意とする。日常には美しく儚い景色で溢れている。日々移ろいでゆくものに限らず、変化しないものであっても、天候や光、心情によって見え方は異なるはずだ。当たり前という認識から視点と観点を変えてみれば全てが尊くありがたみを感じるかもしれない。そんなことを写真を通して伝えていきたい。
新進女性アーティストサポートプロジェクト<Hello, World!>は、日本在住の女性アーティストを対象に、代官山本店ポップアップスペースなどにて無料で個展開催の機会などを提供するサポートプロジェクト。アーティストの異なるキャリアステージに応じ、ポップアップスペースの提供のみではなく、コラボレーション企画やコンテンツ制作など多様な表現の機会を設けることで、未来で活躍する女性のエンパワーメントに取り組んでいきます。プロジェクトを通じて、女性アーティストたちが自身の持つ可能性を最大限に発揮することをサポートし、新しい機会と価値を必要としているアートファンへその機会を提供します。サポートご希望の方はお問い合わせください。