Feature
Maybe! magazine × Forget-me-nots Nairu Yamamoto Interview
モデルとして活動しながら、フリーマガジンを創刊しクリエイティブな活動をする山本奈衣瑠さんは、まさにコンセプトにぴったりな方! そんな彼女に、今の気分にあった洋服を店頭で選んでもらいながら、その価値観に迫りました。
Q. 何を着るかしっかり試着をして吟味していらっしゃいましたが、普段はどういう基準で洋服を選んでいるんですか?
走れることです(笑)。本当にダッシュをするわけではなくて、自分が疲れないかどうかがポイント。肩が落ちそうとかシワになりそうとか、気にするのが嫌なんです。着ていて感情が阻害されないものがいいですね。前の日に考えても、朝には「これじゃないな」と思うこともあるので、起きた時に決めています。
洋服選びががうまくいかない日は、すっごいテンションが下がっちゃう。心と外見が一致しない感じがして・・・だから、冒険してみたい日もあるけど結局いつも同じような格好をしてしまいます。私にとって、おしゃれを選ぶということは、自分の心が自由にいられるかどうかなんです。1番いい気分でいられる格好じゃないと楽しめないので。
Q.TPOはあまり意識しないんですか?
パーティーシーンだからこそ着たいと思う服はあります。だけど、どこかに自分の落ち着くポイントを置いておく。例えばスッピンでリップだけ塗るとか、足元はあえてスニーカーにするとか。そういう、自分にしかわからない特別感って、人と共感する必要はないと思うんです。自分にしかない、自分を肯定するポイントを大事にして、外に出るほうがいいんじゃないかな。
Q.ご自身のことをかなり理解されているように感じるのですが、悩むことはあるんですか?
洋服を決めるのには1時間くらいかかることもありますね。時間がかかっても、結局同じようなものを選ぶんですけど(笑)。でも、それ以外の場面ではあまり悩むことってないかもしれないなあ。考えるより先に動いてしまうタイプだから、もうやっちゃったんだからしょうがない、と思うことのほうが多い。
あとは、秘密にするのが大好き(笑)。この仕事を始めることも誰にも言っていなくて、友達に言われてから「そうなんだよ、はは!」みたいな。悩むというよりは、自分と考える時間を大事にしているんです。その中で生まれた結果だったら全部自分のせいだし、いいことは全部自分の実になりますから。
Q.山本さんは、モデルや女優のほかにフリーマガジン「EA magazine」の編集長を務めるなど、クリエイティブ活動にも注力しています。どういったきっかけで活動を始められたんですか?
基本的に、何に対しても「なんで?」と思う人間で、「なんで空は青いんだろう?」という日常の疑問から、社会問題まで疑問がいっぱい。私の周りはモデルやクリエイターの方が多いんですけど、私が「なんで?」と思ったことがどんなに当たり前のことでも、笑わずに教えてくれるんです。これって特別だなと思っていて。私はたまたま疑問を言える環境にいてチャンスがあるだけだから、私みたいに思ってることがあるのに言えない人がいるのなら、私がその場所になってその人たちの気持ちや疑問を肯定したいと思って。近くにいなくても、本だったらすぐ隣に置けるから。
「EA magazine」のテーマは、“選択できる個人を増やす”こと。何を選んでも、選ばなくても、否定してもいいと思うけど、知った上で選んでほしいんです。そのためには選択肢が多いほうがいい。例えば、私が学生の頃は“痩せていて目が大きいことが可愛い”みたいなイメージがありました。これはメディアが勝手に作ったことなのに、当時の私は気づけていなかった。でも今はそれだけではないと気づけているんだから、まだその価値観の中にいる人たちに選択肢を増やしてあげられたらいいな。
Q.「Forget-me-nots」が描く女性像は“Creative girl, Independent woman”です。自分で作り出していく女性という意味では山本さんはまさにイメージにぴったりですね。
代官山とかを歩いていておしゃれなショップを見かけても、「私を受け入れてくれる?」と思ってしまって、入るのも緊張してしまうことが多いんです。でも、 “クリエイティブに、アクティブに日々を過ごす現代女性のためのショップ”というコンセプトを知って安心しました。自分も入っていいんだって。お店にいる店員さんたちもみんなそういう気持ちを持っているということ。なのに、勝手に自分とは違うものと決めつけて世の中を歩いているのは良くないなって今反省しました(笑)。
Q.山本さんを見て、何かを発信してみたいと思う人も多いのではないかと思います。どうしても勇気が出ない、という方にエールを送るとしたら、どんな言葉を伝えたいですか?
私は“何をするか”よりも、気持ちが1番大事だと思っています。自分の中に生まれた感情が第一歩。だから、クリエイターになりたいという思いではなく、あなた自身が考えるものを1つの形にすることで、誰かを驚かせたり感動させたりできるはず。そんな大層なことはしなくていいんです。自分が何を思うか、それだけで完成してるんじゃないかな。だって、その人が綺麗と思うものを私は見逃してしまうかもしれないし、私が生涯感動できないものにも、その人は感動できるかもしれないから。自分の気持ちを大事にしてほしいですね。
TOPS : Essential Long Sleeve T-shirts / Forget-me-nots ¥9,900
BOTTOMS : Railroad Trouser / Levi's ¥24,200
SHOES : Blazer Low X / NIKE ¥11,000
Photo:松木宏祐 Text:あまのさき Edit:Maybe!編集部
山本奈衣瑠(やまもと・ないる)
モデル、クリエイター、女優。1993年生まれ。モデルとして活動する傍ら、『EA magazine』編集長や女優としても精力的に活動している。
Maybe!
小学館刊行の20代女性向けファッション&カルチャーマガジン。
https://www.shogakukan.co.jp/pr/maybe/